肩甲骨
 近年、肩甲骨の重要性が言われるようになりました。剣道の動作でもこの肩甲骨の動きはとても大切な要素です。現在、素振りでは、頭上45度に竹刀を振り上げるように言われています。余勢がありますので水平でもよいとも言われています。

 しかしながら、上記のような素振りは十分に肩甲骨の柔軟性や動きが獲得できた方の方法です。肩甲骨の柔軟性を高めるためには、竹刀を可能な限り後方へ振り上げながら上下の素振りを繰り返すことをおすすめします。このときに、急いだらいけません。竹刀の重さを感じながらゆっくり振りましょう。
 特に初心者の方は、大きくゆっくり竹刀を振ることによって、打突に必要な肩甲骨の柔軟性を獲得することができます。
 
 そのための補助運動として、肩甲骨とその周辺のストレッチも必要かもしれません。

 さて、二軸の動きの基礎のなる肩甲骨の位置について述べてみたいと思います。最も肩甲骨が働きやすい位置を私達は「外放位」と名づけました。字のごとく、肩甲骨が外側に滑り落ちた状態を言います。胸付近の筋群を緩めることによって、肩甲骨が外放し、最も動きやすいニュートラルの位置に収まります。
 上の写真、左は誇張されていますが肩甲骨が体幹中央へ寄っています。右は肩甲骨が左右へ放たれ「外放」しています。肩甲骨が中央によってしまっている方は、剣道で構えたときに左拳がさがりません。「外放」を習得しますと左拳の位置が決まります。詳しくは、構えの項で取り上げたいと思います。


 それでは、肩甲骨の「外放」を感じ取る稽古法を紹介しましょう。まずは、立禅です。
 二軸の立ち方を習得したら、そのまま両足を肩幅より多少開きます。腕を前に上げて、大きなボール状のものを抱えるようなイメージにします。腕の重みを十分感じてください。

 左の写真は、腕をほぼ肩の高さまで上げていますが、最初からこの位置に上げると「外放位」になりにくいかもしれません。おへその前辺りからはじめて徐々に腕を上げていくといいと思います。

 この姿勢は、気功では站椿(タントウ)功といいます。この上腕の形が大切で、最も気を感じやすい姿勢とも言われています。

 30分以上続けるという教えもあるようですが、そんなに長時間の稽古の必要はありません。長くても10分、5分でも十分だと思います。
 肩甲骨がある程度、外放してきたら、今度は立禅の姿勢で両腕を前後に振ります。後から前に肩甲骨から先を放り投げるようにします。放り投げる感じがつかめない場合は、両手に500グラム程度の物を持つといいかもしれません。
 この動作を200回から300回繰り返します。徐々に肩甲骨が「外放」する感覚がつかめると思います。
 肩甲骨とその周辺の脱力と柔軟性は、常歩剣道習得には欠かせない要素です。短時間でもいいですので毎日続けたいものです。